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【最強変態小説】1分で知ったか出来る江戸川乱歩の「人間椅子」のあらすじと考察

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☆あなたは必ず、この裏切りから逃げられない

あまりにも有名な、

有名すぎるこの作品を、

僕は長年誤解していたようだ。

人間椅子と聞くと、なにやら金田一少年の事件簿に出てきそうな猟奇的な物語だと思っていたが、全く違った。

日本が世界に誇る「変態文学」だ。

 

乱歩先生の人間椅子に比べたら、最近のラノベなんて鼻くそもいいとこだ。

いや、読むけど。ラノベ。

 

とにかく凄かった。

「変態」

この二文字がここまでふさわしい作品というのも珍しいのではないだろうか。

周囲に変態を公言している僕でさえも、あのシーンでは思わず鳥肌が立った。

 

そして最後には読者全員を巻き込む究極の大ドンデン返しが待っている。

あれは予測不可能だろ。

しかもそのドンデン返しにすらなにやら気味の悪い含みがあって…

 

江戸川乱歩作、「人間椅子」

この響きだけで難しそうとか、なんとなく敬遠しているあなたは絶対に損をしている。

普段文学に接点のない人にこそ読んでほしい。短いし。

世の中には想像を絶する変態性を持つものが存在するのだ。

 

まぁ、この作品の場合、最強の変態は江戸川乱歩先生自身ということになるのだが。

 

如何だろうか。

ここから先は普通にネタバレを含む僕の書きたい放題畑になるのだが、ちょっとでもこの作品に興味が湧いた方は自分で読んで見ることを強く勧める。

 

短いし。

確か現代語に訳してあって読みやすいのも出回っているはずだ。

 

ではあらすじの紹介だ。

心してほしい。

あなたは必ず振り回されることになる。

1.人間椅子のあらすじ

物語は女流作家の佳子(よしこ)に宛てられた、一通の手紙による告白から始まる。

そしてこの手紙こそが、今回の一連の事件(いや、現代風に言ったら完全に事案なのだが)のすべてであったりする。

 

手紙の差出人は「私」。

つまり江戸川乱歩本人が書いている様な手法だ。今となっては使い古されたミステリーの手法だが当時はさぞ画期的だっただろう。

 

この本の登場人物は大きく分けてたったの2人だ。

 

手紙の差出人である「私」と、

外交官を夫に持つ女流作家の佳子(よしこ)だ。

「私」のやばい趣味を聞いてほしい

いや、僕じゃない。

物語における手紙の差出人「私」だ。

あーもう、紛らわしい。

 

手紙の内容はおおよそ要約するとそんな感じだ。

趣味の告白。

想像してみて欲しい。

あなたは結婚している女性だ。

突然何者かから送られてきた手紙には、彼のとんでもない性癖が記されている訳なのだ。

もっと言うと、

彼の成長日記なのだ。性癖的な意味での。

 

以下、手紙の内容を現代風に訳してみる。

 

「急にこんな手紙を送り付けて申し訳ない。

とある理由から私はどうしてもこの手紙を貴方様に送らずにはいられなかったのです。

 

私は家具職人。とりわけ椅子は得意分野なのです。

ある日私はとある縁から高級ホテルのソファの制作を依頼されました。」

 

…なんだこれ?素性を知らない女性に読ませる文章ではないだろ。

いきなりの自分語り。

今なら完全にストーカー事案である。

 

手紙は続く。ちなみにここからクライマックスまで手紙の読者である佳子は出てこない。

「私は醜い。醜くて醜くて、醜い。

そんな醜い私は悪いことを思いついたのです。

 

依頼されたソファに細工をして、高級ホテルに忍び込んでやろうとね。

なぁに、私の熟練の技術をもってすれば、ソファ内部にギリギリではあるものの、ちょっとした生活空間をこしらえることはそこまで難しくないんです。

 

スプリングとかの配置はバレないように上手いことやりました。顔の隣にちょっとした棚も作りました。食料棚です。」

 

…やばくない?

こいつやばくない??

イメージ的にわかりやすく言うと、昔のお笑い番組で志村けんがよくやった手口だ。

 

ソファの中に人形にくり抜いた空間を作り、そこに自分の体をはめ込む。

ソファに座った人はちょうど「私」と重なり合うようになるわけだ。

 

「ソファは仕込まれた私の体重で重くなってしまったけれど、なんとかごまかして上手いことホテルに出荷されたのです。

 

それから私は予定通り毎晩盗みを働きました。

夜な夜なソファから出て、ホテル内を物色し、明け方までにはソファに戻る。そんな生活を続けていたのです。

 

ですがある日、さらに素晴らしい事に気づいてしまったんです!!(←事案発生)

 

ソファの皮で顔は全く見えないのだけれど、

ある日私の上に外国の少女が座って来たのです。

 

あぁ、それはもういい匂いでしたよ!

それに皮越しに伝わってくる肉感!太もも!お尻!全てが私をとてつもない世界へと導いてくれたのです。」

 

…え、やばくない?

ガチである。

顔も知らない異国の少女の体を愛ることで新たな扉を開いてしまった「私」は、その後もその楽しみを貪るようになる。

 

時には男の身体、時には婦人の体。

その全てが彼を快楽と強烈な興奮の沼へ沈めこんでいったのだ。

物語内ではこの感覚を、

【紫の夢】と表現している。

さすがだ乱歩先生!

 

おっと、話に戻ろう。

 

「私はそれから3ヵ月程、私の上に座る人々の感触を愉しみました。

なんとも言えない快楽、悦楽。

ああ、皮1枚隔てて私の目の前にいるこの人の首元にキスをすることも出来れば、ナイフで後ろからブスリとやることも出来る。なんという制服感!

 

ただ、私の一つの不満を言えば、

ホテルの利用客がすべて外国人だったこと。どうせなら日本人の女性を楽しみたい…」

 

 

…ヤバイヤバイヤバイ!!

いよいよ本格的にやばくなってきた!!!

どうしよう?!これ!

どうしたらいいの?ねぇってば!!

この人止まらないよ???

サイコパスだよね?

 

「そして数ヶ月がたった頃、ついに転機が訪れたのです。

なんやかんやあって、ホテルは経営方針から私のソファを売りに出すことになったのです。

そしてついに私のソファはとある日本人の家へ招かれることになったのです。

この時を待ちわびた!

ついに日本人の女性の体を楽しむことが出来る!!

 

その家ではご主人が留守の間、奥様が私のソファを使用するみたいでした。

そこで私は丁度いいあんばいに脚を動かしたり、奥様のお尻が吸い付くようにポジションをとったり、奥様の背中にピタリと吸い付くように、はたまた抱き抱えるかのように動き回りました。ソファの中でね。

 

それはそれは最高の瞬間でしたよ。

私にとってそれらの経験は、もはや一つの恋心と言ってもいいものでした。

 

そして普段の会話から察するに、どうやらその奥様は小説をお書きになっている様です。」

 

 

…衝撃のネタばらしの瞬間!!

背筋がゾッとする!

お前佳子の家の中にいたのかよ!

それも数ヶ月間もの間!

手紙を読む佳子の気持ちがやばい。

この恐怖感があなたに伝わるだろうか?

 

毎日仕事の際に腰掛けていたソファの中に、得体の知れない男が潜んでおり、自分の匂いや肌の感覚を興奮のままに愉しんでいたのだ。

 

まさに発狂ものである。

ただ、僕がこのネタばらしのちょっと前から僕はもしかしてと思っており、ちょっと興奮していたのは内緒である。

そして事実が明らかになった1行を読んだ僕は、

なんか爆発してしまいそうだった。

ごめん奥様。

 

そして物語はクライマックスへ

佳子は怖くなって、手紙の途中からほぼ読めていない。

読んでいた部屋も移動し、

とにかくあのソファのない部屋へ!

 

恐る恐る続きを読むと…

 

「そう!

私は奥様、あなたの甘美な感触、その肉体に恋をしてしまったのです。

でも私は醜い。(論点はそこではないと思うが)こんな醜い姿で奥様に愛の告白など…

 

でも募る思いは止まりません。

そこで奥様、

たった1度でいい。

たった1度、私に優しい言葉をかけては頂けないでしょうか?

 

私はこのことをお伝えするためにソファから抜け出し、この手紙を書きに家へ戻ったのです。

 

おそらく奥様がこの手紙を読んでいる頃には気になって気になってお宅の周りをうろついている事でしょう。

もし、もしよろしければあのソファの部屋にある窓際の観葉植物にハンカチをかけて頂けないでしょうか。

 

それを確認したら、私は素知らぬ顔で客人であるかのようにお宅を訪問いたします。」

 

青ざめる佳子。

現代なら即通報ものだ。

どうしていいかわからず、えも言われぬ恐怖にたたずむ佳子の元に、家政婦から一通の手紙が届く。

 

なんとそこには!?(想像してみて!)

例のソファ男からの手紙と全く同じクセの字でこう書かれていた。

 

 

「私はひとりのあなたのファンでございます。

先に送りました、お手紙風の原稿用紙は私の作品でございます。

もし、奥様にそれを読んでいただいた上で、良い感想でもちょうだい出来れば幸せでございます。

 

ある理由から、先の原稿用紙にはタイトルを付けておりませんでしたが、この手紙を読まれているということは頃合でしょう。

 

作品のタイトルは

 

【人間椅子】

と、つけようと思います。

 

如何でしたでしょうか。」

 

ーここで小説「人間椅子」は終わる。

 

2.考察

如何だったろうか。

おそらく原文をそのまま読めば、また違った、いや間違いなく今以上の興奮があなたを襲うはずだ。

 

最後の手紙のくだりとかまさに秀逸と言わざるを得ないだろう。

 

単なるド変態の告白かと思いきや、その実、自分のミステリー小説を尊敬する女流作家に読ませ、その反応を伺うというかなり手の込んだ悪質なイタズラだったのだ。

 

 

たが、この物語は本当にこれで終わりなのだろうか。

 

僕の妄想では、

実はこの人間椅子の男は本当に事件を起こしていて、あわよくば佳子になにかしようとしていたのではないだろうか。

 

そして、それが叶わないと悟ったため、あらかじめ予防線として用意しておいた2通目を出してきたのではないだろうか。

 

読んだ人といろんな意見を交換したくなるような作品だった。

もし興味を持たれたなら、普通にネット上で転がっているので是非原文で読んでみてほしい。